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エティアに無罪を告げに来たのはキャシーだった。
見舞いのついでというより、無罪についての説明のついでに見舞いに来た形だった。
「エティアさん、おめでとう。あなたに下されていた死刑判決は取り下げられて、あなたは自由の身よ」
「…どうしてあなたがそれを告げるのかしら?」
嫌味でも何でもなく、死刑の宣告をしたのが行政府ならば、謝罪と共に無罪を告げるべきなのは行政府なのではないかと、エティアは思うのだ。
「私が前大統領の娘だから…では納得出来ないかしら」
寂しそうに微笑むキャシーに、エティアは返す言葉を見失った。
前大統領であったハワード・グラス氏が戦死したのは聞いていたので、今更故人を責めるつもりもない。
「それじゃ、私がどこで何しても良いってことなのね?」
「ええ、もちろん。他の船団に渡航するのも何も問題ないわ」
キャシーの答えを聞いて、やっとエティアは少しだけ口元を緩めた。
「今、何かと大変みたいね。あなたがその服のままなのも…引き留められているから?」
エティアが話題を変え、キャシーの着用している新統合軍の軍服を指差す。
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