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「…ア、おい、エティア!」
我に返ると目の前にカンナの顔があり、自分を覗き込む鳶色の瞳に吸い込まれそうになる。
「ああ、ごめん。何?」
「大丈夫か?気分が悪いなら、録画しておいて後で見ても良いんだぞ?」
カンナがリモコンを手に尋ねるので、エティアは首を左右に振った。
「ちょっと考え事してただけ。見られるときはリアルで見たいの」
エティアの言葉に、カンナはリモコンをテーブルに戻した。
エティアはバジュラ戦役の番組を出来るだけ見ることにしていた。
見ることで何かが変わるわけではないが、自分の罪を忘れないために見るのではないか、とカンナは思う。
確かにエティアの歌とフォールドクォーツに呼ばれてバジュラが船団を襲ったが、エティアはギャラクシー上層部に命令されやったことであり、その罪滅ぼしかのように生命を削りながらもフロンティアを救った。
それでも本人は否定するが、エティアはまだ罪悪感を引きずっているようにカンナには見えた。
こればかりは自分でも癒せないものなのかも知れないと、少しだけ寂しく思うのだった。
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