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そういったのは、女の子と同い年ほどの少女だったのです。壇 美霊は、黒髪をツインテールに結い、紺色のブレザーを着て、口元に微笑みを浮かべていました。
名前を聞かれた女の子は、銀縁眼鏡をついと人差し指でずりあげながら、
「わ、私、みなと小学校5年3組の小林佳子(こばやし よしこ)ともうします…」
と、直立して答えたのでした。小林佳子と名乗った女の子は、美霊が自分と同い年ぐらいの女の子であったのを知り、ホッと胸をなでおろしました。霊能士というから、きっと怖そうな女の人だと思っていたからです。
壇 美霊は、微笑みながら、佳子にソファーに座るように促したので、佳子がソファーに座ると、美霊も佳子の前のソファーに座りました。すると、隣の部屋に給湯室でもあるのか、黒スーツ男がお盆に紅茶のそそがれたティーカップを二つのせて戻ってくると、ガラスのテーブルの上にティーカップを置きました。
黒スーツ男がそのままソファーの横に立ってニコニコと微笑んでいると、美霊の視線を感じてそちらへ目をやると、美霊が笑っているような、怒っているような表情を浮かべ、黒スーツ男をにらんでいたので、黒スーツ男は悲しそうな表情を浮かべ、シクシクと泣きながら隣の部屋に戻り、パタンとドアを閉じました。
「あ、あの…」と佳子が困ったようにいいましたが、美霊は「お邪魔でしょう」といって、ティーカップに砂糖を入れてかきまぜると、紅茶をすすりました。
「何かあったのですね?」
美霊が佳子にたずねると、佳子は口ごもってしまいました。美霊はそれを見ると、「落ちついて」といって佳子に紅茶をすすめたので、佳子はティーカップに砂糖を入れてかきまぜると、ずずっと音を立ててすすり「実は…」と話しはじめました。
「実は、一週間前のことなんですけど、昼休みに学校の校庭でボールで遊んでたんです。その時、ボールが体育館裏の方に転がっていってしまって、私、ボールを取りに体育館裏に行きました。その時…」
「出たんですね?」
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