第1話

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約束の日、佳子は、自分の通う、みなと小学校の表門の前で美霊が来るのを待っていました。すると、しばらくして、美霊が現れました。美霊は紺色のブレザーを着て、髪を三つ編みにして、背中にピンク色のリュックを背負っています。 「ごきげんよう! ここが佳子さんの通う、みなと小学校ですね」 「はい、そうです! 今日は、ありがとうございます」 佳子は銀縁眼鏡をついとずりあげました。 「では、さっそく、体育館裏へ行きましょう。案内していただけますか?」 美霊に促され、佳子は美霊を連れ、表門から校庭へ入って行きました。校庭では地元のサッカークラブの子供たちが練習し、元気な声をあげています。監督が大声を出して指示を出しています。二人はそれを横目で見ながら、新しく建てられたという新校舎の前を歩き、体育館裏へ急いでいると、もう一人、体育館裏の方へ歩いて行く者の姿がありました。 「あら、時々、見かける、お婆ちゃんだ」 佳子がお婆さんを見てつぶやくと、美霊はジッと見つめました。お婆さんは、両手に花束や、お線香や、お菓子を持っています。美霊はお婆さんを見て何かを感じたのか、佳子の目を見てうなずくと、お婆さんの方へ走りだしたので、佳子はその後を追いました。 「お婆さん、ごきげんよう! 私、霊能士の壇 美霊ともうします。こちらは、この学校に通っている小林佳子さんです」 突然、美霊に声をかけられたお婆さんは、とまどって口ごもっていましたが、美霊はかまわず続けました。 「お花とお線香、それにお菓子を持っているようですが、どちらへ行かれるのですか? よろしければ、お話をしていただけますか?」 すると、お婆さんは、とまどいながらも話を始めました。 「あ、ああ、これね。体育館裏にあたしの弟のお墓があるんだよ。あんたたち、知ってるかい? 1941年に日本がハワイの真珠湾を奇襲攻撃してね、太平洋戦争が起こったんだよ! 最初のうちは日本は勝っていたんだけど、そのうち戦況が悪くなってね、本土まで空襲されるようになってね、こんな田舎にも艦載機が飛んでくるようになったの。
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