コトリ君。

１

「あ。これ先月出たばっかじゃん。
　コレおすすめ本に持ってくるとか、おすすめた人と友達になれそうな気がするー」

　そんな声が聞こえて、おれは手を止めた。

　女の子の声だ。
　学校帰り？なダッフルコートにマフラーで萌え……いや見えないけど、下はたぶん制服で、女子高生とかそんなところ。

　支所に併設の、市立図書館分室。
　自動ドアごしに見える入り口の、ボードのところに女子が二人居る。

「図書館にこんな本置いていいの」

「はい？　これハードカバーなんだけど？　高い本なんだけど？」

「あーハイハイ。萌え文庫とは違いますねそうですね」

　ものすごく嬉しそうににこにこしながら、テンション高く語っている。
　隣の茶髪の子は、慣れているのか半笑いだ。