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夕食時の大食堂では、壁に巨大な模造紙がが張りあわされ、1年3組のトーナメント表と各選手の賭け率が示されていた。16名が出場する表の右端にはカザン、左端にはタツオがいる。優勝候補の第1位は1.4倍の東園寺崋山、続いて1.7倍の菱川浄児、2.5倍の同率には佐竹宗八とタツオの名が黒々とした墨文字で並んでいた。
「あーあ。おれも手堅くカザンに賭けようかな」
クニがそういうと、テルがにらみつけた。
「いくらやつに東園寺家の秘伝があっても、そう簡単には勝たせはしない」
「なにいってんだよ。テルの倍率は5倍だろ。オッズ表ではその他、大勢扱いだろ。あんまり無茶することないよ。このメンツのなかでは最初に二回戦でカザンと当たる。なんなら、やつとの試合は放棄してもいいだろ。別に主役でもないんだから」
テルは両手のなかにちいさな黒い球をふたつずつ握りこみ、ぐるぐると回転させている。うなるようにいった。
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