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「近衛(このえ)四家だかなんだか知らんが、名門のお坊ちゃんには手を焼かせられる」
タツオは思わず口にしていた。
「がんばれ、テル」
テルが四角い顎(あご)でこくりとうなずいた。
「ああ、わかってる。勝てるとは思わない。だが、後に闘うおまえとジョージのために、なにかひとつくらいカザンに爪痕(つめあと)を残してやるよ。いいか、勝負は簡単にはいかないだろう。3組1班の3人でなんとかカザンに土をつけてやろうぜ。あいつの高い鼻をへし折ってやるんだ」
そのとき佐竹(さたけ)宗八(そうはち)の長身があらわれた。巨大な船が荒波を分けるように、生徒たちが自然に避けていく。トレイをもったまま、タツオたちがいるテーブルにやってきた。ジョージが笑顔で声をかけた。
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