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会社を21時半頃に出て、帰宅したのは22時過ぎ。途中で24時間営業のスーパーで惣菜を買ったが、着替えることもなく真っ先にベランダへ出た。
煙草に火を点けて、深く深く吸い込む。分煙社会になって肩身が狭くなった分、誰にも気を遣うことなく夜の闇に紫煙をくゆらせることができるここは、やっぱり私のオアシスに違いない。
「いま帰り?」
不意に隣から声が聞こえ、目線をやると高丘さんがいた。というより、声のする方向には彼しかいないのが当然なのだけど、どうしても数日前まで空室だったせいで、その存在に馴染めずにいる。
「えぇ、まぁ」
「遅いんだね、お疲れさまです」
「ありがとうございます」
労ってもらえるとは思っていなかったから、なんとも不愛想だ。頭の中で思い描いていたより数段低い声に、高丘さんは息の漏れたような笑いを返してきた。
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