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彼女はいない、って、どういうこと?
今朝の女性と、夜な夜な艶っぽい時間を共にしていた女性が同一かどうかは置いておくとしても、彼女じゃないのにそういう行為に及び、出勤前まで一緒にいたなんて……私が張った見栄は、無駄に終わってしまった。
余計に空しくなる。
毎日仕事に明け暮れ、それでも仕事は好きだから文句なく楽しい毎日ではあるけれど、唯一の埋まらない空白と生活し始めて、すでに半年以上経つ。
「仕事が多忙な女でよかったじゃない」
ただの隣人である高丘さんに、見栄を張る必要などなかったのに……。
あの夜、隣の部屋から漏れ聞こえた悦の声は、確実に私に寂しさを植え付けた。人肌が恋しいと思い、ベッドでクッションを抱えていた自分を認めたくなかったのだ。
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