rule 2

11/37
前へ
/37ページ
次へ
 「鍋ができるまで、先に飲みません?凛子さんはお酒飲める?」  「えぇ、人並みには」  嘘だ。本当は、かなりいける口だと思う。基準が分からないけど、本格的に酔う時は相当な量を飲んでいる。  「とりあえず、ビールでしょ」  高丘さんは、プルタブを引いてから私に渡してくれた。  「ありがとうございます」  いろいろと納得がいかないまま、彼のペースに乗せられて、気付けば乾杯している。  「あの……どうして鍋を?」  「食べたかったから」  「なぜ私の部屋なのでしょう?」  「凛子さんと食べようって思ったからですけど。さて、鍋作りましょー」  ――だから、なんで?  彼の答えは、答えになっていない。私と鍋を食べたいと思うに至る過程が全く見えないままだ。
/37ページ

最初のコメントを投稿しよう!

255人が本棚に入れています
本棚に追加