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慣れた様子で包丁を握り、次々と食材を切っていく。私がやることと言えば、冷蔵庫にあった箸休めのホタルイカのアヒージョを電子レンジで温め直したりするくらいだろうか。私が調理しようと思っていたのに、彼は率先してキッチンに立った。
「へぇー、高丘さんって料理できるんだぁ」
「え?」
突然、彼が意味の分からないことを言い出した。
「今、凛子さんが心の中で思ってること」
「……ちょっとは思いましたけど。意外だったので」
「やっぱりね。俺が料理するなんてイメージないですもんね」
「はい。皆無です」
「ひどいなぁ。俺ってどう思われてんだろ」
「知りたいですか?」
恐らく彼の食欲が失せることしか言えないけれど、それでもいいならこの際言おうと思う。
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