rule 2

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 慣れた様子で包丁を握り、次々と食材を切っていく。私がやることと言えば、冷蔵庫にあった箸休めのホタルイカのアヒージョを電子レンジで温め直したりするくらいだろうか。私が調理しようと思っていたのに、彼は率先してキッチンに立った。  「へぇー、高丘さんって料理できるんだぁ」  「え?」  突然、彼が意味の分からないことを言い出した。  「今、凛子さんが心の中で思ってること」  「……ちょっとは思いましたけど。意外だったので」  「やっぱりね。俺が料理するなんてイメージないですもんね」  「はい。皆無です」  「ひどいなぁ。俺ってどう思われてんだろ」  「知りたいですか?」  恐らく彼の食欲が失せることしか言えないけれど、それでもいいならこの際言おうと思う。
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