rule 2

　グツグツと煮える具材が、空腹を誘う。室内が湯気と雨で蒸してきて、除湿を強にした。

　「いただきまーす」

　調理から小分け皿に取り分けてくれるまでの一連を、彼はとてもスムーズにやってくれた。やはりこういう場面に慣れているのだ。彼が酒の席にいるのは、容易に想像できる。

　「どうですか？特製豆乳鍋」

　「美味しい！」

　「よかった。まだ具材残ってるし、どんどん食べましょう！」

　味付けは目分量だったのに、こんなに美味しく作れるなんて、彼は日ごろから自炊しているのだろうか。お酒も進むちょうどいい味に舌鼓を打つ。

　「高丘さんは、今日予定なかったんですか？」

　「ありましたよ。でも、相手の子が女の子の日だっていうから、じゃあ来週にしようってことになったんです」

　つまりは、私は代打ということか。腹立たしいけれど、断りきれなかった自分にも非がある。