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数年前、股上の浅いデニムを履いた女性がたくさん街角にいて、平気でギリギリのラインまで見せていたのを思い出す。私はそういう格好をしたいと思わず、同じデニムを履いても見えないようにしていたけれど……高丘さんは平気なのだろうか。スウェットとはいえ、隠そうとしないあたり、やはり彼は無防備だ。
特別親しくもなかった頃に、部屋で鍋をして眠ってしまったり、話し声が漏れ聞こえてきたり……知らず知らずのうちに彼のことを知ってしまうのだ。
「あの、高丘さん。つかぬ事を伺いますが」
「え、なに?」
「そこまで浅くスウェットを履いているのに……その何ていうか……下着が見えないのってなぜなのでしょう」
瓶に入ったジントニックを飲んでいた彼も、さすがにこれにはむせてしまったようで、苦しそうに咳き込んでいる。
「ご、ごめんなさい!ただ、なんとなく気になっただけで」
「やっぱり凛子さんってヘンタイ?」
「は?」
「俺の下着を見たいってこと?」
「そういうことじゃなくて!」
慌てて訂正するも、こんなことを聞いた自分が忌々しい。
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