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特に見るつもりもないけど、場を繋ぎたくてテレビに頼ってみる。この時間は借りてきたDVD鑑賞をしていることが多いから、こうして久々にみると番組が変わっていて新鮮だ。
「次、何飲みます?」
「ゆずチューハイ」
彼はとても甲斐甲斐しく動いている。私のお酒がなくなれば、こうして新しいものを取りに席を立ち、スープのおかわりだってよそってくれた。
誰にでもこうなのだろうか。彼の部屋に行き来している女性たちも尽くしたり身体を交わらせるばかりではなく、彼からも同等の扱いを受けているのだろうか。
「ゆずなんて買ってきたっけ?みかんじゃなくて?」
「あ、みかんだった……かも」
最下段の冷蔵室から取ろうとしている彼の背中を思わず凝視してしまった。
しゃがみこんでいるせいで、腰骨より下の方まで見えているのだ。
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