rule 6

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 「りーんこ」  「あれっ?公美(くみ)」  仕事を終えて、駅ナカのカフェで本を読んでいたら、大学時代の友人と偶然会った。  「1人?それとも彼氏待ち?」  「1人よ。仕事終わって真っ直ぐ帰る気分じゃなかっただけ」  間違ってはいないが、この時間に帰宅したら高丘さんと遭遇しそうだと思って、時間を潰しているだけだ。  「公美は?」  「私は彼氏待ち」  「彼氏と別れたって言ってなかった?」  「別れた後、すぐに会社の後輩に告白されたの」  「へぇー、後輩ってことは年下?」  「うん。下って言っても27だから、そんなに大きな差でもないけど」  3歳差は大したことがないとしても、20代と30代の差は大きいはずだ。  でも、公美はそんなことを気にしていない様子で、とても輝いて見える。恋の力なのか年下の影響なのかは分からないけれど、羨ましいと思ったのは事実だ。
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