143人が本棚に入れています
本棚に追加
/31ページ
想像していた光景が広がる神宮前は、パーキングも近隣から埋まるのが常で、少し離れたところから歩いていくことになった。
「気を付けて。ゆっくりでいいから」
積もって溶けては踏まれ、夜にかけて凍結してまた踏み慣らされた歩道は、気を抜くと転んでしまいそうにツルツルとしている。
「街中じゃなかったら、お姫様抱っこしていけるのにね」
「えっ!?ちょっ、きゃぁ!」
「……大丈夫?!あははは」
驚いた私はバランスを崩して転びそうになってしまい、しっかりと支えてくれた彼の腕にくっつくようにして歩く羽目になった。
あはは、と笑ってくれて救われたけれど、冗談に聞こえないのが彼の悪いところだ。
最初のコメントを投稿しよう!