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参拝は長蛇の列ができていた。今年は何をお願いしようかと考えながら、隣で携帯をいじったり、時折話しかけてくれる彼に笑顔を向ける。
「純弥?」
不意に後ろから声を掛けられ振り向くと、知らない男性が立っていた。
「三田(みた)じゃん!久しぶり」
「だな、何年ぶり?」
「2年はまともに会ってないだろ。もうこっちに戻ってきたのか?」
「まぁ、そんなところ。なかなか会えなくてつまらなかったよ、本当。今度飲みに行こうぜ」
「そうだな。予定決まったら言う」
「それはそうと、お隣は?」
「椿 凛子さん。まだつき合ってないけど、大切な人」
「初めまして、椿です」
「三田です。純弥とは高校から友達なんです。いいヤツだから、彼女になってあげてくださいね。いい加減、年貢の納め時だと思うし」
「えっ、あ……はい」
三田さんという男性は、彼の友人のようだ。それよりも私をこんな風に紹介してくれたのが、何だか嬉しかった。真に受けていいのかわからないけど、冗談だとしても間違いなく気分は良かった。
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