rule 11

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 「それはそうと、先週、ヘアモデルの依頼で山下さんのところに行ってきたの。凛子はあれから行ってないの?」  「あ……うん。結局行き慣れたところが良くて」  あの時、姉に言われたノリで、純弥さんのサロンに変えなくてよかった。こんな状況で予約なんか入れる勇気はない。会ったとしても周りの目を気にして、客と美容師のスタンスは守らなくてはならないし、聞きたいことは1つも話せないだろう。  「それが、もうびっくりしちゃった。少し会わないうちに、山下さん結婚してたの」  ――絶句。  茫然として、理解ができないまま姉が言ったことが脳内を周回する。  「……へぇ、そうなんだ。誰と?」  だけど、姉への態度は自分でも驚くほど冷静を保ち、自ら話題を掘り下げようとしてしまう。  「私と同じヘアモデルさん。静香さんっていうんだけど、MORITANIの娘さんで、とても華やかな人よ」  情事の最中、想像の中で彼を殺したあの夜。  彼に電話を掛けてきていた女性の名前が瞬時に浮かび、散らばっていた点たちが直線上に並んだ。
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