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「街も会社も変わってないなぁ」
「大きく様変わりするほどの年数、離れてなかったですよ」
「とはいえ、3年は大きいだろ?」
「3年後の梶本さんは、まだ未婚なんですか?」
「椿より先に幸せになったら、周りからひんしゅく買いそうだからな」
「なんの気遣いですか、それって」
待ち合わせてすぐに、離れていたとは思えないほど親しく話せるのも、梶本さんだからだろう。誰からも慕われていて、仕事もできる優秀な人は、こんな時でさえその力を発揮するものだ。
近くの店へ行く間、同じ会社の人とすれ違うたびに、声を掛けられて挨拶をする彼は、とても顔が広い。会社に入った頃、こんな風に連れて歩いてもらって、私のことも覚えてもらえるようにしてくれたのを思い出した。
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