rule 13

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 陽が沈み、夜の帳が降りた頃、ダイニングバーから夜景を望む。  高丘さんは車の運転があるからとアルコールを控えているはずなのに、テーブルを照らすキャンドルの炎が揺らぐたびに、表情が色っぽくて何度も視線をそらしてしまった。  聞き出そうとしても、その1歩が踏み出せない私は、何時間も胸のつかえを抱えたままだ。そんなことを知らない彼は、楽しそうに笑ってはステーキを食べ、時折入る仕事の連絡で席を外し、忙しそうにする。  本当に仕事の連絡なのかと疑ってしまう自分が嫌だ。こんな気持ちになるのも、彼のことが好きだからだろうと分かっているのに、叶わない恋をするほど気持ちに余裕がない私は、どこまでも素直になれず自分の首を絞め続けている。
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