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すっかり定位置となった彼の居場所は、ソファーの半分だ。最近1人で座っていて寂しく思うのは、彼のせいなのかもしれない。
「ねぇ、凛子さん」
「なに?」
「途中で買ったトマトジュース、冷蔵庫に入れておいてほしいんだけど」
「忘れないで持ち帰ってね」
「うん」
間違いなく飲むことはないそれは、初めて私の冷蔵庫にやってきた。真っ赤で綺麗な分、裏切られた時が辛い恋の色が、やっぱり私は苦手なままだ。
グラスとビールを用意すると、やっとアルコールを飲める高丘さんは缶のままグイッと勢いよく飲み始めた。
「俺、今日のうちにどうしても凛子さんに話しておきたいことがある」
急に真剣な顔つきで話し出した高丘さんに、首を傾げて相槌を返した。
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