136人が本棚に入れています
本棚に追加
◇◇◇
「先輩、夏休み前に合コン参加しません?」
「遠慮しておくよ」
「まだ恋愛モードにならないんですか?」
「なってないというより、出会いを求めていないというか」
「……え、それってまさか」
「梶本さんでも高丘さんでもないからね。自然体で過ごしたいだけ」
ランチの時間になって、社外へと出かける約束をした私と愛名ちゃんは、通用口で梶本さんを待つ。
昨日の雨はどこへやら、すっかり夏空が広がり揃って日傘を腕に掛けている。
「ねぇ、愛名ちゃん。もし、約束してないのに急に男の人に迎えに来られてたらどう思う?」
「唐突ですね、質問が。でも、きっと嬉しいと思います。それって相手が自分の好きな人っていう設定ですよね?」
「んーそこは考えてなかったけど」
昨日は本当に驚かされた。でも、それと同じくらい嬉しかった。それはきっと、高丘さんのことが好きだからなのだろうか。
恋愛に疎かった挙句、散々な失恋をした私は自分の気持ちにさえ自信がなくなってしまったのかもしれない。
最初のコメントを投稿しよう!