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「2年前、何をしてたかって聞いたことあったでしょ?」
「うん。高丘さんはちょうど忙しくなり始めたころだったよね?」
「それと、凛子さんにフラれた時でもあるんだけど」
「えっ!?」
グラスを持ったまま動きが止まってしまった私を見て、彼は目尻を下げて微笑んだ。
「きっと忘れてるだろうとは思ってたけど、思い出せないかな……飲み会で俺たち1度会ってるんだよ」
2年前と飲み会というキーワードでは、そこに彼の姿を探すのが難しい。本人を前にして思い出せないなんて言えなくて、必死に記憶を遡る。
「俺、お姉さんみたいな人、すごくタイプ」
「え、今度は何?」
「俺がその時凛子さんに言った、最初の言葉だよ」
あまりにも軽いその台詞は、どうやら好ましくない思い出として消してしまったのかもしれない。
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