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「年下に興味がなくても、俺にはなびいてくれてもいいじゃん」
「何言って……」
振り返った先で唇が奪われたと同時に、指に挟んだ煙草がそっと抜き取られ、空いた手が握られた。
高丘さんのキスは、不意だけど少しも強引じゃない。いくらでも逃げられるはずなのに、それができなくなる。
一向に深くならない唇に、なぜか私が焦れったさを覚えてしまった。
「高丘さんとは、これ以上しないから」
「キスフレってこと?」
「隣人よ、ちょっと特殊なだけ」
「じゃあ、前に俺の髪を撫でてくれたのはどうして?ベランダで甘えさせてくれたのは?」
素直になるのが怖いのだ。失恋するよりも、単純に身体だけの関係だったと後で知るのが辛い。
高丘さんがそういう人じゃないと、薄々分かっていても、今までの彼を知っているからこそ、なかなか信じることができなくなってしまう。
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