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おもむろに起き上がった彼が、私に向き直って和やかに1つだけ微笑むと、突然私を抱きかかえて立ち上がった。
「えっ!?」
眠り慣れたベッドが私の背中を受け止め、高丘さんが私に覆いかぶさるようにして艶っぽく見下ろす。
「しよっか」
「……っ」
言葉で拒否するより先に、彼の頬を目がけて動いたはずの手は、空を切ることもなく押さえつけられた。
「言ったでしょ?セックスが後でも先でも関係ないって」
「だからって、急に来られても」
「……待ってたら、凛子さんから誘ってくれるの?」
「……」
セックスをするのはつき合ってからがいい。つき合うなら、身体だけの関係じゃないと信じられるようになってからがいい。それだけのことがこんなに難しいのかと思わせられる。
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