rule 13

31/38
前へ
/38ページ
次へ
 おもむろに起き上がった彼が、私に向き直って和やかに1つだけ微笑むと、突然私を抱きかかえて立ち上がった。  「えっ!?」  眠り慣れたベッドが私の背中を受け止め、高丘さんが私に覆いかぶさるようにして艶っぽく見下ろす。  「しよっか」  「……っ」  言葉で拒否するより先に、彼の頬を目がけて動いたはずの手は、空を切ることもなく押さえつけられた。  「言ったでしょ?セックスが後でも先でも関係ないって」  「だからって、急に来られても」  「……待ってたら、凛子さんから誘ってくれるの?」  「……」  セックスをするのはつき合ってからがいい。つき合うなら、身体だけの関係じゃないと信じられるようになってからがいい。それだけのことがこんなに難しいのかと思わせられる。
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!

136人が本棚に入れています
本棚に追加