rule 13

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 翌朝、いつも通りベランダに出て朝日を浴びながら作りたてのスムージーを飲む。今日も朝から茹だるような暑さだけど、ずっとかかっていた靄(もや)のようなものがスッと消えた感じがするのは、高丘さんとの昨日があるからだ。  激しさだけじゃないセックスは、彼の気持ちそのものが伝わるようで、身体に残る怠さすら愛しく思えるのだから、私は彼の虜になってしまったのかもしれない。  「りーんこさーん」  マンション前の歩道から、ポロシャツ姿で出勤する彼が私を見上げている。周りを歩くサラリーマンの目が恥ずかしくて、小さく手を振って答えた。  「行ってきます!大好きだよー!」  堂々としすぎてて、思わず笑ってしまった。近隣にまで聞こえるような大声で言ってくれた彼に、もう1度私は手を振って答え、彼が見えなくなるまで見送ってから部屋に戻った。
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