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「あれ?先輩、なんか嬉しそう」
「え、そう?」
「誰か気になる人からメールでも届きました?」
愛名ちゃんの洞察力は、時々凶器だ。図星を言い当てられ、笑ってごまかすしかない私は、返信しようとしていた携帯をバッグにしまって食事を続けることにした。
自分の気持ちを誰にもかき乱されることなく、穏やかに深めていきたいのだ。だから、愛名ちゃんにも知られたくない。
ましてや、この気持ちが高丘さんへの恋なのかどうかを本人に言えるはずもなく、彼だって他に気になる人がいると言っているのだから、今はまだ秘めておくほうが賢いと思える。
『お疲れさま。私は明後日の方がいいな。月曜午前休なの』
ランチから戻り、すぐに送ったメールは、飾りこそないものの恋をしているような感じがした。
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