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◇◇◇
12月も半ばに差し掛かり、あらゆる企業が慌ただしく1年の終わりを迎えようとしている。同期との忘年会に出かけるらしく、一緒に残業をしていた愛名ちゃんが一足先にデスクを立った。
「椿、お前また仕事してるのか?」
「そういう梶本さんこそ、思い切り打合せ終わりじゃないですか」
ノートパソコンを抱えた彼が、何か用を済ませたついでに話しかけてきた。
「ここの課の忘年会に誘われてるから、その時はよろしくな」
「こちらこそ、どうぞお手柔らかに」
酒豪の梶本さんが来るとなると、2日酔い覚悟だろう。美味しいお酒を知っている彼といると、ついつい進んでしまうのだ。
ドアを開けて出ていく梶本さんの後ろ姿に、高丘さんを重ねる。今頃、彼も年末で忙しくしているのだろうか。
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