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◇◇◇
ランチ終わりに、週末に転居先の内見をすると、今回と同じ仲介に連絡をした。偶然にも空室になる予定だと知って、今の部屋を決める時に迷った部屋を見に行くことにしたのだ。
もし、違うマンションに住んでいたら高丘さんとは出会うこともなかっただろう。それとも、何かの形で会えていたのだろうか。
「先輩、受付からです」
「私に?」
愛名ちゃんが受けた内線に首を傾げた。名指しで電話を受けることは多くない。アポイントのある来客は受付で連絡を入れたりすることなく、来館証を首に提げて入ってくるからだ。
「椿です」
「受付です。美容機器担当者と話したいと、お客様が見えております」
「……お約束されている方でしょうか?」
「いいえ、アポイントは取っていらっしゃらないそうですが……」
予定を確認していると、愛名ちゃんが向かい側の席からなぜか微笑みかけている。個人宛てではなかった連絡を、彼女が丸投げしてきたのかもしれない。
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