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「弊社が既に販売している商品のリニューアルも、視野に入れて良いのでしょうか」
「そのあたりも含めて御社からのご提案を頂戴し、進めていけたらと思っています」
「そうですか……」
ノートにペンを走らせ、必要なメモを取る。貰った資料は後で必要な人数分コピーを取って、配布したほうがいいだろう。
高丘さんがコーヒーを飲み、腕時計を見ている仕草が視界の端に入る。
思い出の詰まった部屋を出るその日まで好きでいるのは、私の身勝手な片想いだ。
――もう絶望的なのかもしれない。
今の彼に、小さな希望を探しても見つけられなくて、心の中でひっそりと落胆する。
そして、素直になれない自分が大嫌いになった。
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