133人が本棚に入れています
本棚に追加
「俺、待つのって苦手なんだ」
ふんわりとやわらかな表情に、真正面からぶつかってくる視線に言葉が浮かばなくなる。
「なかなか振ってくれないから、諦められなくて困ってるんだけど……やっぱり、もう愛想尽かしてる?」
「えっ、だってもう別れて……」
「俺、振ってくれとは言ったけど、別れるとは言ってないでしょ?」
高丘さんは相変わらず勝手だ。そして私も同じくらい身勝手な恋をしている。でも、私がもう少し素直になれていたら……会いたい時にそう伝えられていたら変わっていたはずだ。
妙なプライドに括られて、思いきれないのを年齢のせいにして、好きなくせに打ち明けることもできず、ひたすら受け身でいた私を、彼は間違いなく想ってくれていたのに。
最初のコメントを投稿しよう!