rule A

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 「俺、待つのって苦手なんだ」  ふんわりとやわらかな表情に、真正面からぶつかってくる視線に言葉が浮かばなくなる。  「なかなか振ってくれないから、諦められなくて困ってるんだけど……やっぱり、もう愛想尽かしてる?」  「えっ、だってもう別れて……」  「俺、振ってくれとは言ったけど、別れるとは言ってないでしょ?」  高丘さんは相変わらず勝手だ。そして私も同じくらい身勝手な恋をしている。でも、私がもう少し素直になれていたら……会いたい時にそう伝えられていたら変わっていたはずだ。  妙なプライドに括られて、思いきれないのを年齢のせいにして、好きなくせに打ち明けることもできず、ひたすら受け身でいた私を、彼は間違いなく想ってくれていたのに。
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