rule A

　高丘さんは、きっともう他の新しい恋をはじめているだろう。守りたいと思う相手が、既にいるかもしれない。
　来期からＭＯＲＩＴＡＮＩを吸収してより大きくなった組織の中で、たくさんの社員を束ねながら、父親の後を継ぐのだろう。

　あれから、純弥さんが私の前に現れることはなく、姉も義兄の転勤にくっついて行ってしまったから、彼女の口から純弥さんの話を聞くこともなくなった。

　Ｂ型とは合わないと毛嫌いして、Ｏ型の純弥さんと出会って恋をして痛い目を見た過去の私は、とても視野が狭くなっていたと今なら自覚できる。血液型で判断するのが悪いとは思わないけれど、囚われすぎも良くないし、たまたま恋をした相手が合わない人で、全員がＢ型だっただけで……好きなものは好きなのだから、それでいいと思うようになった。

　そうじゃなきゃ、あと数日をこの部屋で過ごす気分にはなれそうにないのだ。