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高丘さんに恋をして、私は変わった。
B型だから分かり合えない人だろうと思っていたのは、知りたいと思っていたから。
もっと知りたいと思った時にもどかしさを抱いたのは、彼を好きだったから。
いつか、彼の心が決まってしまう前のどこかで、素直に『そばにいて』と言えていたら、今も変わらずに恋を続けていただろう。
ベランダで他愛ない話をして、仕切りのある隣室の距離を楽しんだはずだ。
でも、上手くいっていたら変わらなかったこともある。
冷蔵庫のドアポケットに、真っ赤な恋の色をしたトマトジュースが常備されるようになった。開封されないままだった彼の忘れ物を、賞味期限が切れる前に口にしたら、とても美味しかったのだ。
先入観で恋を決めていた私の愚かさを、彼が気付かせてくれたのかもしれない。
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