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そのあと、シエラに支えられながら高級車に乗る。
「ほぉら、泣いてばかりではだめよ、弱虫が泣き虫ね。」
「もう!ママ酷い!」
母の肩を押す。
「だって泣いてばかりなんだもの。笑いなさい、今日は私たち夫婦にとってもっとも大切な日のひとつなんだから。」
勿論シエラの誕生日もよ、と付け足す。
シエラは照れたようにそっぽ向いた。
運転する父も口角を上げている。
母はアデレイドの頬に手を添えてじっと娘をみる。
「本当に綺麗ね。この紫の目も…」
実をいうとこの紫色の瞳はコンプレックスだった。
黒、青、セピア、緑…色んな色があるが紫色は本当に稀で…居たとしても青紫で、本当に紫色の瞳を持つアデレイドはこの瞳がいやだった。
そのことをからかわれもした。
『モンスターだ!』
だとか散々言われた。
家族はこの瞳を綺麗だといい、愛してくれた。
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