26人が本棚に入れています
本棚に追加
/276ページ
浮き浮きは止まらない。
友人からの祝福、沢山のプレゼント、父からの高級車の乗車とドレスの贈り物。
本当に、幸せだ。
紫色のドレスに身体を通す。
マーメイドラインがアデレイドの身体の線を強調する。
黒いハンドバッグを持つ手袋がアデレイドの手を少し締め付ける。
「パパ!まだなの?」
「はは、待ちなさいあと少しだ。」
眉を八の字にしながらも声は華やいでいる。
アデレイドは窓から見える
何時もと同じはずの風景を特別なものに感じられた。
やがてレストランに着いたのかキッという音がして、車が止まった。
「着いたの!?」
父はドアを開けながら微笑む。
腕を差し出す。
「行くぞ」
「うん。」
父に引かれて行く、まるでバージンロードを歩いているよう…と思っているとシエラと母が入口で待っていた。
二人とも着飾っている。
「アデレイド、此方よ!」
母が手招きすると父の腕から手を離し駆けていった。
アデレイドの両腕に手を当てて着飾った娘を上から下まで見て、うっとりとする。
長い黒髪の艶、紫色の瞳、綺麗な目、どこから見ても美しい。
娘を抱き締める。
「お誕生日、おめでとう。そして私たちの許へ生まれてきてくれてありがとう。」
涙が、出てしまう。
手袋を外して目元を拭う。
最初のコメントを投稿しよう!