幸せな誕生日。

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「メイクが崩れるわ。」 シエラがハンカチを取り出して貸してくれた。 「ありがと。」 一端家族と離れてお手洗いに向かう。 鏡にうつった自分を見る。少し目尻が赤い。 マスカラで目がどろとろだ。 たが、幸せに満ちている。 口元を緩めて、化粧を一度全ておとしてまたメイクをし直した。 最後に口紅をして。 最初のドアとは別にあるドア迄歩いて行く。 「高橋様でございますね?此方においで下さい。」 他の客たちの間をすり抜けながら家族の元へと向かう。 その間、アデレイドに客の目が奪われた。 艶のある直毛の黒髪は綺麗に結われている。睫毛に縁取られた紫色の瞳、すっと通った鼻筋、清廉な雰囲気、全てが完璧に美しい。 そんな娘を両親を誇らしげに迎える。
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