正体

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「戦争が続き、飢餓貧困が蔓延すれば、人は拠り所を探す...」 キリストの十字架と、仏像が現れる。 「キリスト教、仏教の類いの誕生を意味する。お前も信じているだろう?」 「...えぇ。」 苦しんでいた人々の顔が幾らか安らいだ。 「人は弱い。...だから愛しいのだが...。」 人は弱い、の後の言葉は聞こえなかったが、何とも言えない気持ちになる。 アデレイドとて馬鹿ではない、此処まで来れば自分が人ではないことがはっきりとわかる。 そこで引っ掛かるのは... “禁忌の子”というキーワード。 禁忌...忌み憚って禁止された習慣など と辞書には出てくる。 つまり、神たちにとって自分は忌み憚られる存在。 それは何故...? どうして“禁忌”と呼ぶのか。 なぜ? 何故? ナゼ アデレイドは深いの深海に溺れて行く感覚に襲われた。
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