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ー此処なら何とか…!
ゴソゴソと物を退かしつつ、暗闇の中手探りでそこへ足を進め中に入る一人の若者。
狭い場所な為、更にはとある物の中にいる為に少し動いただけですぐに壁に当たる。
しかし、此処で隠れる場所と言ったら前方にある教壇か、後方、つまり今自分がいる此処ぐらいだけ。
これ以上の逃げ場はないが、広い所よりも安心感はある。
とりあえずの隠れ場所は確保出来た。来ないことを祈りたい…!!
そう思った矢先。
遠くから微かに聞こえて来る足音。
シン…と静まり返ったこの場所では、微かでも聞き取れる音。
ゆっくりと確実に来ている。
それが分かるとまた体の震えが起きた。拳を握る力が強まる。
グッと奥歯にも力が入り、体勢を整えた。
しかし恐怖心は消えることなく、音が近付くにつれてだんだん増して来る。
やがて、足音は一つの戸の前でピタリと止まった。
来る…!
そう思ったと同時に、教室の戸が勢い良く開いた。
そのせいで体が大きく反応し、声が漏れそうになる。
必死に口元を手で覆い息を殺して、足音の主の次の動きを見守る。
入って来た何かは、明かりがないために暗くて分からない。
姿ははっきり言って確認出来ていない。
が、生きている者ではないことは分かりきっている。
その者は中を見回しているのか、動く気配がない。
このまま去って欲しい。
見つかるわけにはいかないから。
絶体に。
やがて戸の開く音がして、何かが去って行く足音が徐々に聞こえなくなった。
暗闇でも、少し時間が経つに連れて目は僅かだがぼんやりとなら見えるもの。
掃除用具の中からなら小さな隙間からヤツを確認出来ると思ったのに。
そう思いながら中からはい出て、浅くため息を吐いた。
???「見ぃつけた……」
???「…あ」
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