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「いいなあ、今が一番楽しい時期じゃん。
お互いを思い合ってることはわかってるのに、ちょっとぎこちない感じ?
探り探り恋人っぽくなっていく過程、最高だよね」
「……」
思わずへへ、と破顔する。
だめだ。しばらくはこの調子が続いてしまいそうだ。
「じゃあ、ぜんぜん約束できてないの?」
「一応、今週末に会おうかって言ってくれてるんだけど……」
「仕事が片付くかどうかわからない?」
「うん」
「たぶん、大丈夫だよ」
「どうして」
「死に物狂いで終わらせると思うから。だって、楠木さんだってしたいじゃーん?続き」
「ちょっと、美咲っ。声大きいってば!」
二人のキャッキャする声が地下駐車場にこだまする。
――その時。
視線を感じた気がして、わたしは足を止め、振り返った。
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