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***** 「おかえり、ひよちゃん」 宇佐美壮太(うさみ・そうた)は部屋着姿で奥の台所から顔を出し、 いつもと同じ柔らかな笑顔でわたしを出迎えてくれた。 風雨荒れ狂うドアの外とはまるで別世界のように静かな部屋は、 美味しそうな醤油の匂いに満たされていた。 空腹を思い出した胃がきゅっと反応する。 「ていうか」 全身からぽたぽたと滴を落とすわたしの姿に気づき、目を丸くしながらこちらに向かってくる。 「――大丈夫?ずぶ濡れだけど」 廊下の天井に灯る夕陽色の灯りが、近づいてきた宇佐美くんのきれいな顔を照らした。
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