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 ――ひより……。 ベッドを軋ませ、わたしの体を激しく揺らしながら、 宇佐美くんはいつも切なげな声で呼びかける。 呻くように、何かをせがむように、美しい顔を微かに歪め、何度も、何度も。 その度にわたしは、 嬌声なのか泣き声なのか自分でもわからないものを必死で堪え、押し殺しながら彼の首にすがり付く。 二人が離れずに済むように。 彼がどこにも行かないように。
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