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――わたしはこの人が好きだ。
一緒に暮らし始めてもうすぐ一年になる。
わたしたちが抱き合い、手を繋いで眠るようになってから、一年。
あの日、彼がこの部屋にやって来るまで、わたしはどうやって毎日を過ごしていられたのだろう。
彼の手を握らずに、どうやって眠りに落ちることが出来ていたのだろう。
そんなことも思い出せないほど、彼はわたしの中に溶け込み、わたしそのものを満たしている。
――わたしは、この人が好きだ。
だから、――。
「……り……」
暗がりにぽつりと浮かんだ、宇佐美くんの声。
わたしは自分の両膝を抱き寄せ、その上に顔を横たえるようにして彼の寝顔を見つめた。
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