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今夜も、同じだ。
いつもと同じように、それは苦しげなため息とともに宇佐美くんの口から発せられる。
「……い、り……」
わたしはゆっくり手を伸ばし、涙で光る宇佐美くんのまつげを指先で拭った。
夢の中で彼が流す涙は、わたしの涙でもある。
すぐそこに迫る大きな波に流されないよう、
わたしは宇佐美くんの手を探り、しっかりと握り締めた。
「……愛理……」
――わたしは、この人が好きだ。
――だから、――。
心がこんなにも、痛い。
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