続き

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   ファッションビルで、あれだけの言い争いをして、また駅前で同じような事は出来ないと思ったのかも。  ただ、電車のドアが閉まるまで、背中に勇人の視線は感じていた。  電車は、無情にも走り出す。  乗車率の低い車内で座る事も出来たけど、そのままドアのところに立って窓の外を見つめる。  車窓に流れ行く景色が目に入らない。  だって、電車が走り出してすぐに、一度は止まっていた涙がまた溢れ出したから。  別れる事が悲しい訳でも、失恋する事が辛い訳でも無い。  今日の事が、悔しかったのだろう。 「勇人とは、終わっちゃうんだろうな……」  その事に対して、未練なんかは少しも無い。  それより勇人が未練がましく、関係を繋げようとしそうな事が不安だった。  だとしたら、ズルズルと関係が続いてしまいそう。  そう思った時、何故かマスターの顔が思い浮かんでいた。      
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