love3

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嫌だと言われても……。 成宮くんは私を助けてくれたし、李音くんが嫌な気持ちになるような事は言っていないはずだ。 私ごときが成宮くんのような男の子と親しく話すなと言うことか? そうだとしたら…… それは本当に李音くんに申し訳ない事をした。 固まったままの私を見て李音くんが小さく息をついた。 「ごめん。そんな事言われても困るよな」 「え……」 「成宮と乃亜は友達なんだし」 李音くんが私の手を握って下を向く。 なんだか悲しそうな顔をしている。 私は戸惑いながらも李音くんの手を握り返した。 「李音くんと成宮くんは友達、だよね?」 そう聞くと李音くんは頷いた。 どうして私が成宮くんの話をするのが嫌なのか分からないけど、李音くんに嫌な思いをさせるのなら……。 「ごめんね、私李音くんの前で成宮くんの話しない」 「え?」 「不意に出ちゃうかもしれないけど、もし出そうになったら全力で殴ってくれていいから!」 「え、しないけど……」 「李音くんに嫌な思いさせるの嫌だから!」 そう言い切ると李音くんは目を数回瞬かせると困ったように微笑んだ。 「ううん、いいよ。俺が勝手に嫉妬しただけ。成宮の話しても怒らないから、乃亜の好きな事話して」 「でも、いいの?嫌な気持ちにならない?」 「なるかもしれないけど、乃亜が楽しそうならいい」 李音くんはそう言って手を引いて歩き出した。 何だか不思議に思いながらも、私はそれ以上何も言わなかった。 そして二人で学校へ向かって教室へ入る。 自分の机にカバンを置くと里穂ちゃんと詩織ちゃんが私の側に来た。 「のんたーん、今日の放課後暇?」 「詩織がゲーセンの割引券もらったんだって。予定無いなら一緒に行こうよ」 「ごめんね、二人とも。今日は無理なんだ」 「え?何か予定あった?ハッシーとデート?」 「ううん。今日は駅前の絵画教室に申し込みに行くんだ」 そう言うと二人が驚いた。 「絵画教室行くんだ。今まで家で描いてたんじゃなかった?」 里穂ちゃんの言葉に頷いて、スマホで昨日成宮くんに教えてもらった教室のサイトを開いた。 「私の家の最寄り駅に新しく出来たんだって。成宮くんに教えてもらって、一緒に申し込みに行くんだ」 「成宮くんって……あのイケメン?ハッシーの友達って言ってた」 「あの人も美術部だったんだっけ?」 「うん。中学では一緒に絵を描いてたんだ。昨日成宮くんに美術部に入ったのか聞いたら入ってないって言ってて。成宮くん、本当に絵が上手なのに勿体ないなって思ってたから」 「そっか。のんたんもこれで思いっきり絵が描けるんだね!」 「うん」 二人に笑いかけると里穂ちゃんが心配そうに私を見た。 ・
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