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旅には、いろいろな困難がつきものだ。
だが、隣街に出てくるまでには、最初の戦闘以来なにもなく下りてこられた。
「こんな簡単に街に出てこられるなんて…。」
「あんな戦闘が何度もあってたまるか。」
「晋爾様、ロープレではないので…。」
「わかってるよ。」
晋爾たちの街はスノーウィットと呼ばれ、1年の殆どが雪に覆われている。
隣街はスプリットと呼ばれ、1年の殆どが春のような気候で過ごしやすく、雪は降ることがない。
「スプリット…スノーウィットとは、景色がこんなにも違うんだな。」
晋爾は、始めて見る地面や桜の木を見ると呟く。
「そりゃあ、1年の殆どが雪に覆われているスノーウィットにずっと住んでましたから。オレたちには暑いくらいですね。」
「四季はあっても、気温が変わるだけだからな。」
しばらく、三人は桜の木をボーッと眺めた。
すると「あんたら、スノーウィットの人間か?」と、背後から声がして篤が腰の剣に手をかけ、佳那汰は手のひらを天へ翳す。
「ちょ、ちょっと待て!俺はただ声掛けただけだろうが!」
男は後退り、そのまま地面に尻餅をつくと「いってー!なんだよ、お前らー。」と、困った顔をしている。
そんな男を見て晋爾は二人を制して前に出ると、笑いながら男に近付き手を差し出すと「はは、すまなかった。俺たちはスノーウィットから今降りてきたんだ。」と話、男の手をとり立ち上がらせる。
「そうか、俺はスプリットのサンドルだ。」
「サンドル…。」
男の名前を聞いた佳那汰は、晋爾に近付き「こいつ、王位継承者候補の一人です。」と、耳打ちした。
それを聞いた晋爾は表情を変えず「サンドルか!俺はスノーウィットの晋爾。八神晋爾だ。この、剣を抜こうとしたのが桧山篤、こっちのちっこいのは黛佳那汰。よろしくな。」と自分達の紹介をすると「晋爾…お前ら、王位継承者とそのお供か。」とサンドルが三人を見渡した。
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