第1章

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足を進めながら、考えに更けていた。 晴れ渡る空から差し込む太陽の光を、ビル越しに浅く浴びているとはいえ、マフラーを口元まで覆わないとかなり寒い。目的地までまだ時間がかかりそうだ。寒さを肌で感じながら、8月の昼間の街道を歩き続ける。 腕時計に目をやると、今日の天気予報が表示されているのを確認した。「8時45分」と文字が出ている横の空間に、「晴れ」マークがイラストとなって表示されていた。この腕時計をもう4年使っている。愛用品である。 2144年、世界は第3次氷河期に突入していた。 8月の最低気温が2℃、というのが日常になった今日この頃、僕は相変わらず冴えない学生生活を送っていた。昨日高校3年生になったとはいえ、まだまだ暇な日常は続くであろう。寒さが身に染みる。 学校まで徒歩で20分。バスで直行すれば5分で済むのだが、バス代を浮かせ昼食代に回すのが日課となっていたので、相変わらず歩いて登校するのだ。高々と無数のビルが天に向かい建つ街の中、様々な学生たちがそれぞれの目的地へ向かって歩いている。
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