第1章

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今まで「ラーメン」を食べたことが無かった。 ただ、やきそばやうどんは、ある。ラーメンだけなかった。 これだけ聞くと、誰しも「おかしいよラーメン食べたことないなんて」と言うに決まっている。そう、それは普通に考えればおかしいことだ。 じゃあ、それだけ食べたこと無いと言えばおかしい、どうしてなのかと問いたくなる世間的に認知され大衆的なラーメンを食べたことがないのが変だと思う理由は、一体何だろう。 「今まで鉛筆を握ったことがない」くらいに普通のことだからか。 そうだろう。鉛筆を持ったことがないというのは、明らかにおかしいし、それは大衆的なラーメンを食べたことが無い、に匹敵するくらいおかしいことだ。それは間違いないだろう、しかし、 「ラーメンを食べたことが無い」のは、なぜ変なのか? 分かっている。当たり前すぎるのはわかっている、ラーメンを食べるということが。だが、みんなが食べてきているラーメンを、口にしたことがない、それだけで僕を変だと口をそろえて言っていいのだろうか? それは、いわば「偏見」なのではないだろうか そもそも、「生まれてきてラーメンを食べないといけない」という法律はないのだ。いや、法律とまでいかなくとも、「生まれてきてラーメンを食べなければならない」という概念すらないのだ。よく考えてみてほしい。 「米を食べる」「パンを食べる」のと同じくらいに、「ラーメンを食べなければならない」という、明確なルールはこの世に存在しないのである。 わかるか、そうだろう。 つまり、ラーメンを食べたことが無い、としても、29歳になってラーメンを食べたことが無い、としても、それはいたって「不自然ではあるが、間違ってはいない」といえる、ということになるはずだ。 ただ、それを恥である、周りの人とは違う、と認識はしている。認識していないのなら、それこそ「変人」だが、それをわかっているから、人には「私は今までラーメンを食べたことが無いです」とは言っていないし、発信すらしていない。 だからこそ、今働いている会社でも、私のことを「変」だと思っている人は誰一人としていないのだ。 誰一人として。私がラーメンを食べたことが無い、なんて知らない。
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