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家を出てからずっと読んでいた小説も終盤に差し掛かって、僕の新生活はこれから始まるのに、と少し心寂しくなった。
そんな想いで昇降口前に貼られているクラス表を見つめる
と、その時。
「おい叶矢、あんまちょろちょろすんな。小さいから見失う……」
「うるせー!誰がチビだー!!」
そんな会話が聞こえたのと同時に、肩のあたりに軽い衝撃があった
「うわっ!」
「っと……」
どうやら誰かにぶつかられたようだ。
大した痛みはなかったが、突然のことで少しよろけてしまう。
ふらつく足を止め後ろを振り返ると、そこには一人の生徒がいた。
「あいてて……す、すみませ……っ!!」
僕にぶつかってきたは、茶髪の少年だった
どうやら新入生らしい。
そう判断したのは、胸元に付いている飾花。
「祝入学」と書かれた赤いリボンは僕がつけているものと同じだった。
(……小さい)
身長は、10センチ以上差があるだろうか。
少し視線を下げないと彼の顔は見えない。
制服も少し大きいのか、袖が隠れておりズボンの裾も捲ってある。
さらに少年らしさを倍増させているのはその容姿だ。
キラキラとした大きな瞳に桜のような桃色の頬。
癖の強い長髪を一つにまとめている。
服装によっては小学生、最悪女子と間違えてしまうだろう。
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