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「そ、それは柊さんがわ、私を......!!」
今度こそちゃんと正座をして彼を見上げた。
そして「柊さんが私を引き寄せたんです!」と言いたいのに、さっきまであんなに近くにいた彼の顔を思い出すだけで、胸に爆発音に近い音が何回も響いている。
「私が何か?」
柊さんも冷静さを保っているように見えるけれど、眉間の皺がこの混乱を物語っている。
柊さんも自分を維持するだけで精一杯みたい。
「わ、私を......そ、その......私の手を握って......」
もうそこまで言うのが限界だった。
思い出すだけで恥ずかしいあの状況。もう、一生忘れないと思う。
だから話題を変えようと、咄嗟に思いついた事を言った。
「あ、あの、市松人形ってなんですか?!」
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